輝いている女性、と聞かれたらどんな人を思い浮かべますか?
芸能人? 大富豪? キャリアウーマン?
筆者は今年23歳になった女なのですが、「そもそも輝いてる女性とはどんな女性か」については、これまでの人生であまり深く考えてきませんでした。
そんな筆者がこのテーマで筆を取ろうと思ったのは、モデルの花木ひかるさんにお話を伺い、夢を形にしていくまでの行動力に胸を打たれたことがきっかけです。
花木さんは秋田県能代市で生まれ育ち、地元の製薬会社で会社員をしながらミス・ユニバースに出場したという異例の経歴の持ち主。
2017年に本格的な芸能活動のために上京し、現在は、モデル事務所に所属しながらファッションやビューティー系のモデル、レポーターやウェブCM出演など、幅広くご活動されています。
「女性として輝きたい」
ミス・ユニバースをきっかけにそう思ったひかるさんは、子どもの頃から関心があった芸能の道に踏み出します。今、実際にモデル活動をしながら花木さんが想う「輝いている女性」とはどんな人なのか聞いてみたところ、「自分の人生を自分で決めている人」との答えが。
秋田の若い世代のキャリアガイドとなるメディア『ame magazine』。
今回はモデル・花木ひかるさんの夢への軌跡を辿りながら、会社員経験やミス・ユニバースを通して導き出した「輝いている女性」についてご紹介します。
書き手:小山内みき
カメラマン:武石将知
モデルの夢への諦観と、地元就職
ーーモデルになりたいという想いはいつからあったのですか?
花木さん:小学生の頃から、モデルになりたいという気持ちはありました。
ただ洋服が好きで、自分が着せ替え人形になりたくて、という理由からだったのですけど。
アナウンサーやアイドルにも憧れていましたね。高校生の頃は、ラジオパーソナリティもやってみたいなと思ったりもしたのですけど、結局、高校卒業後も地元に残る選択をしました。
ーー地元就職を決めた段階では、現在のようなご活動は考えていましたか?
花木さん:その頃はモデルなんてもう、全然考えていなくて(笑)。
芸能関係の仕事にすることへの憧れはずっとあったけど、「現実的じゃないな」という考えの方が先行していました。
地元や家庭内の空気感でそう感じたんだと思います。やりたいと言っても誰も応援してくれないだろうな、と思っていたんです。
ーー地元で就職をしようと思ったのはどうしてですか?
花木さん:そもそも進学じゃなくて就職を選択したのは、早く働きたいなという気持ちが強かったから。
その中でも地元就職を選んだのは、「地元が好きだから」というのが一番の理由です。地元のお祭りに参加したり、ダンスも地元で習ったりもしていました。地元を好きだと思えたのは、居心地のいいコミュニティに属していたのが大きいと思います。
就職したのは東京に本社がある製薬会社でした。なので、地元にいながら日本全国いろんな背景を持った方々と一緒に働くことができました。就職した会社に6年半勤めたのですけど、とても恵まれた環境だったなぁと振り返ります。
ミス・ユニバースで出会った輝いている女性たち
ーー花木さんの中で、再び「モデルの仕事をしたい」と思ったきっかけはなんだったのですか?
花木さん:社会人も3年目になった頃、仕事には慣れてきたのだけど、自分の中でいっぱいいっぱいになることが多くなってきて。人間関係は凄く良かったのだけれど、仕事に対して楽しいと思えなくなっていた時期でした。
そんなときに偶然、ミス・ユニバース秋田大会の様子がテレビで流れているのを見て。画面の中に映る女性たちに対して「この人たちはなんて輝いているんだろう」と衝撃を受けたことが、人生が方向転換するきっかけでした。
そのときは、彼女たちからなにを感じとって輝いているように見えたのか、わからないのですけど。とにかく、ミス・ユニバースを見たことをきっかけに「私も女性として輝きたいな、自分のやりたいことをやってみようかな」と思ったんです。
ーーそのとき、花木さんのやりたかったことというのは。
花木さん:子どもの頃から憧れていた、モデル、ですね。
ミス・ユニバースをテレビで見てからは、まずは仕事の合間を縫って東京に来て、レッスンを受けたり、モデル事務所のオーディションを受けたりすることを始めました。
合格した事務所もあったんです。だけど、いざ!と思ったときには母に止められて。
ーーでも、折れなかったのですね。
花木さん:はい(笑)。勝手に行動して、ぜんぶ事後報告というスタイルでした。
両親は当時、私の行動に対して「何を考えているんだ」「できるわけない」というスタンスだったので。
ーー今はご両親は応援してくれている?
花木さん:折れてくれたのか、ここまできたら活躍してもらわなきゃ困るという感じで。笑
色々な面で沢山サポートしてくれて、時には誰よりも厳しい美容チェックがあり、1番の応援者となってくれています。
ーー花木さんは会社員をされながら、ミス・ユニバースにも出場しているのですよね。
花木さん:ミス・ユニバースに影響されて、レッスンやオーディションを細々と受け始めたのが21歳のときで、実際に出場したのは23歳のとき。
そこで同じように出場していた女性たちとの出会いが、私が本気でモデルになることを決めたターニングポイントでした。
ーー同じ出場者のどんな姿に影響を受けたのですか?
花木さん:どの女性もすごく開放的で自由な発想を持っていて、夢に向かって前に進んでいたんです。
たとえば、出場者の中にはモデルの子もいました。彼女はモデルになりたかったから両親を説得して、勤めていたお仕事を辞めてモデル活動をしていました。
ミス・ユニバースにはそんなふうに、自分の気持ちに正直に、自分で決めた人生を既に歩んでいる女性たちばかりで。そんな彼女たちをやっぱり「輝いているな」と思ったし、とても影響を受けました。
子どもの頃からファッション雑誌も毎月買っていたし、家のタンスも洋服で溢れるくらいだったけど、「本気でモデルやろう」と思ったのは、ミス・ユニバースの出場がきっかけ。
両親には反対されていたけど、「こんな状況でもミス・ユニバースに出場しちゃったわけだし、怖いものはないか!」という前向きな気持ちで、本気でモデルで仕事をしていくことにしました。
行動すれば、応援は自然とついてくる
ーー本格的なモデル活動のために上京してからは、どんなステップでお仕事をつくっていったのですか?
花木さん:上京した段階では、まずは事務所探しからスタートしました。
今所属しているモデル事務所は、地元にいた時に通っていたレッスン先のカメラマンさんの繋がりで出会った方から「知り合いが所属しているこんな事務所あるよ」と紹介してもらったんです。
書類を送って、面接をして、合格をもらったときは本当に嬉しかったですね。
ーー夢への第一歩ですもんね、喜びが伝わってきます。
花木さん:だけど、ただ黙って事務所に所属しているだけではお仕事はもらえなくて。
基本的にオーディションを受けて、合格したらお仕事をもらえるという流れなんです。だから自分でオーディションに受かるための工夫をしないといけない。
ーーお仕事をもらうというより、掴みに行くというニュアンスに近いような気がしました。
花木さん:そうかもしれないですね、自分から掴みに行かないといけない。
なので、日頃から食事は野菜とタンパク質中心のものを意識したり、空いている時間はウォーキングやポージングのレッスンをしたりと日々鍛錬と研究をしています。
ーー日常生活でもモデルの仕事を意識して過ごされているのですね。
花木さん:ひとつひとつが勉強だと思って過ごしています。
もちろん、会社員時代より安定した生活じゃないけれど、今がすごく楽しいです。やりたいことを仕事にし始めたら、その他のいろんなしがらみも前向きに受け取ることができるようになりました。
花木さん:モデルの仕事を始めるまで遠回りした気もするけど、今やりたい仕事ができているからか、不思議と過去も無駄じゃなかったって思えるんですよね。
むしろ、社会人をリアルに知っているというのは、強みかもしれないし。
ーー今に納得していると、過去も肯定できるのかもしれませんね。最後に、花木さんのように夢を持っている秋田の女性たちに、伝えたいことはありますか?
花木さん:自分のやりたいことをやる上で、周りの反応が気になることがあると思うんです。「否定されたら」とか「応援されなかったら」とか、マイナスなことを考えてしまう気持ちもわかります。
けれど、夢を叶えて輝いている女の子というのは、もしかしたらそこで勇気を持って一歩踏み出した女の子かもしれない、と今は思っていて。そんな姿が、結果的に輝いて見えるんじゃないかと思うし、ミス・ユニバースで私がそうだったように、行動している姿に周りの人の胸を打ち、結局応援してもらえることにつながるんじゃないかなと。
だから秋田の女の子たちには、自分も含めてなんですけど、心の中にある好き嫌いを誤魔化さないで、行動する勇気を持ってほしいなと思っています。