Ame Magazine〜秋田を深めるインタビューマガジン〜

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーー横手高校出身・かずはさんインタビュー

 2018-09-15

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーー横手高校出身・かずはさんインタビュー
秋田の若い世代のキャリアガイドとなるメディア『Ame Magazine』。

記念すべき、第1回目のゲストは、横手高校出身のかずはさんです。かずはさんは高校を卒業後、お茶の水女子大学に進学。

現在は、Microsoftから独立して日本酒を世界に発信するお仕事をされています。

小学生時代にインターネットに触れたことで「広い世界を見てみたい」と上京。東京では、「たくさんの出会いを通じ、自分の価値観が研ぎ澄まされた」そうです。

これまでの経験を通じ、秋田の若い世代には「自分が信じる価値を曲げず、好きなことを追求してほしい」と語ります。

気になる秋田の先輩に聞く、高校や大学では教えてくれないキャリア形成のヒントをたっぷりとお伺いしてきました。

聞き手:小原光史、齊藤奏子
カメラマン:武石将知

インターネットが原体験。「広い世界を見てみたい」と、横手高校からお茶の水女子大学へ

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーーミス日本酒秋田代表・かずはさんインタビュー

ーー本日はよろしくお願いします。かずはさんは、横手高校のご出身だとお伺いしております。
まずは、横手高校に進学されたきっかけについてお伺いさせてください。

かずはさん:よろしくお願いします。若い世代にお伝えするなんて大したことは言えないのですが…。私は仙北市の出身で、高校受験をするにあたり、進学先をいくつか検討していたところ、教師をしていた父から横手高校の存在を教えてもらいました。

「横手高校のコミュニティはすごく面白いよ。卒業した後も、先輩後輩の仲が他校に比べて深いように思う」と昔から言われていたので、そうしたこともきっかけの一つになっていると思います。家が遠いので、中学卒業後に親元を離れ、下宿生活をしていたんです。

ーーそうなんですね!高校生で親元を離れるのは大変だったと思います。

かずはさん:そうですね…。でも、友だちに恵まれた高校生活でした。1度ですが、下宿生活が辛かったときに、クラスの仲の良い女の子の実家に泊めていただいていたり。いま振り返っても楽しい思い出ばかりです。

先生方の授業も個性があって楽しく、横手高校を選んで本当に良かったと思っています。

ーー実は、僕も横手高校の出身です。コンビニは遠いし、信じられない坂の上にありますが(笑)、人に恵まれたコミュニティですよね。
…その話は置いておいて、卒業後はお茶の水女子大学へと進学されています。進学のきっかけを教えてください。

かずはさん:今でも進学したことに後悔は一つもないのですが、お茶の水女子大学は、もともと第一志望の学校ではなかったんです。ただ、「東京のような、人と物と情報が集まる場所への憧れ」はありました。

というのも、小学校1年生のときに、父親からコンピューター(Windows 95)をプレゼントしてもらったんです。

当時にしてみたら自宅にインターネットが開通するのは珍しく、また友だちの間でも、インターネットに触れるのが早い方でした。

「クラス」や「学年」といった小さなコミュニティを越え、世の中にいる素敵な人たちとインターネットを通じてつながり、情報を交換する経験をしたことで、生まれ育った故郷とはきっと違う世界で生活してみたいと思っていました。

ーーなるほど!たしかに、幼少期に触れた情報や経験が多いほど、外のコミュニティに目を向けたくなる傾向があると思います。
ちなみに、お茶の水女子大学での専攻をお伺いできますか?

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーーミス日本酒秋田代表・かずはさんインタビュー

かずはさん:父が高校で物理を教えていた影響もあり、物理学を専攻していました。

ただ、入学後にスマホアプリの企画やUXデザイン(UX=ユーザーの体験)の授業が面白くて。結局卒業論文は情報科学系の研究室で書きました。

やっぱり、Webサービスが好きだったんですよね。

ーー大学に入学してから、本当に好きなことに気づかれたわけですね。多様な価値観に触れる過程で、自分の興味が磨かれていくことは多いと思います。
僕もはじめは政治学科に入学したのですが、最終的には経営学を学んでいました。ちなみにかずはさんにも、そうした経験はありますか?

かずはさん:スタートアップ企業で自分でWebサービスを立ち上げられていらっしゃる方とお話する機会があったり、ニコニコ動画などの動画サイトで「踊ってみた」や「歌ってみた」シリーズの動画を見たりしていて、「何かを自分でつくるってかっこいいな」、「自由に表現するっていいな」と漠然と思っていました。

東京に来て、そうしたことを体現している人にもたくさん会ったので、「将来は自分も同じように…」と、漠然と考えていた気がします。

「叶えたい夢があるなら、迷っている時間はない」——秋田への“恩返し”をするため、日本酒の世界へ

ーー卒業後は、Microsoftに入社されています。
こちらも、もしかすると“インターネットの原体験”が影響しているのでしょうか?

かずはさん:大学院に進学しようかとも考えていましたが、ちょうど就活の時期に東日本大震災が起こったんです。

当時高校生だった弟は大変な時期に大学受験を控えていましたし、進学することで実家に負担をかけたくないと思いました。それに、あの震災を経験して「いつ死ぬかわからない」とも感じましたね。

そこで、「いま叶えたいと思っていることがあるなら、迷っている時間はない!」と。

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーーミス日本酒秋田代表・かずはさんインタビュー

かずはさん:Microsoftに入社したのは、“インターネットの原体験”も影響しています。起業家の方々が世の中に新しいサービスを生みだしていく姿を見て、かっこいいと思っていたんです。

彼ら彼女らと一緒に仕事がしたかったですし、自分も同じようにサービスを世の中に展開することで、誰かに喜んでもらえる経験がしたかった。そうした思いもあって、IT業界の中で修行するにあたり一番刺激が強そうな外資系企業を受けて、Microsoftからご縁をいただきました。

ーーMicrosoftでは、どのような学びを得られたのでしょうか?

かずはさん:世界最先端のIT製品・サービスに関する全般知識、企画や営業の業務を幅広く学びました。そして何より、「人が福利厚生」だと感じるくらいに優秀な先輩方からご指導いただき、環境も良く、楽しく業務に従事していました。

お世話になりっぱなしの感覚があり、「今度はお世話になった人たちに恩返しができる自分になりたい」という思いが強くなり、スタートアップ企業での経験を経て、独立を決意したんです。

ーーそのような経験もありながら、ミス日本酒に応募されていましたね。どのようなきっかけがあったのでしょうか。

ミス日本酒…伝統ある日本酒と日本文化の魅力を日本国内外に発信する美意識と知性を身につけたアンバサダーを選出する目的で、一般社団法人ミス日本酒が主催。かずはさんは、2017年度の「シンクパール賞」を受賞。

かずはさん:ある日にいつも一緒にお酒を飲んでいる友人たちと日本酒のことを調べていたら、偶然「ミス日本酒」というコンテストを知りました。気づけば応募の締め切りが確か翌日だったので、帰ってから急いで応募したことを覚えています。

自分の将来像を描くMicrosoft時代の研修で「5年後は、地元に恩返しがしたい」と書いていたことも重なり、私にとってのターニングポイントになりました。秋田の誇りである美味しい日本酒の文化を世界に広めようと思ったんです。

ーーかずはさんが日本酒の魅力に惹かれたきっかけはなんでしょうか。

かずはさん:会社の女性役員の方とお酒を飲む機会がありました。その方は世界中のワインにとてもお詳しい方でしたが「最近、日本酒に凝っているの」とおっしゃっていて。ご一緒させていただく度に日本酒の楽しみ方を教えていただいたんです。

温度を変えてみるとか、食事とペアリングしてみるとか。そうして各都道府県のお酒を一緒に飲んでいるうちに、「ああ、やっぱり秋田のお酒がとびきり好きだなあ、なぜか飲みやすい」ということに気づいたんです。

その当時は詳しいわけでもなんでもなかったのですが、生まれ育った故郷の水とお米で出来ているんだと考えたら、一杯一杯が愛おしくなりました。

そして、お酒を飲みながら、少しずつ秋田県で育った話を、人に伝えられるようになっていきました。それまでは、地元の良いところもわからず、なんとなく恥ずかしかったんです。

お酒の席って、無礼講というか…、時には弱みを見せられる場だったりすると思うのです。そうした雰囲気を醸成する日本酒って素敵ですよね。

今ある環境に止まらずに、興味の幅を広げる

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーーミス日本酒秋田代表・かずはさんインタビュー

ーー高校を卒業して上京し、就職、退職、独立とさまざまなご経験をされてきたかと思います。
これまでの人生を振り返り、秋田の若い世代に伝えたいことはありますか?

かずはさん:若い方に伝えるなんて大それたことは出来ないです。ただ、先ほどもお話ししましたが、私は第一志望だった大学に合格できていません。

これを失敗だったとは思っていないんです。こう思えているのには、Microsoft時代に培った価値観も影響しています。

Microsoftは、たとえ今ある市場の中でナンバーワンになれていなかったとしても、諦めることをしません。自分たちの考える価値観を信じ、挑戦をやめないんです。続けているうちに、ナンバーワンになるのです。

私も、自分が心から好きだと思えることや、信じる価値観を表現することで、自分が考える“正義の味方”を周りに集めていきたい。

だからこそ、自分が好きなことや興味が持てることを見つけたら、たくさん挑戦して、続けていくことが大切だなと考えています。

秋田にいても、秋田の外にいても、すごい人、魅力的な人はたくさんいます。自分が劣っているように感じる瞬間がたくさんあるかもしれない。だからといって、挫折してしまう必要はないと思います。

ーーおっしゃる通りだと思います。自分に嘘をつく人生ほど、悲しいものはない。そのためにも、さまざまな価値観に触れることが大切ですよね。
かずはさんのように、出会いによって価値観が研ぎ澄まされると思うので。

「好きなことを追求して、世界を広げてほしい」ーーミス日本酒秋田代表・かずはさんインタビュー

かずはさん:場所にとらわれず、多くの接点を持つと新しい出会いがあり、自分をアップデートできて面白いです。

自分の心が動いたと感じられる瞬間を増やし、その興味を拡張していけるような行動を取れる人たちが集まると、秋田の未来がもっと元気になりそうですね。

Profile image
1990年生まれ、秋田県仙北市出身。横手高校を卒業後、お茶の水女子大学に進学。Microsoftに入社し、営業部門で活躍。
ミス日本酒2017秋田代表にも選ばれ、現在は日本酒とテクノロジーに関わる仕事を中心に活動中。

今回のインタビューメンバー

Ame Magazine ライター/編集者
1994年生まれ、秋田県湯沢市出身。大学在学時よりフリーランスでライターを開始。現在はビジネス領域を中心にWeb媒体での執筆と、ブックライティングを手がけています。実家は温泉旅館です。
Ame Magazine ライター
秋田県横手市出身の大学4年。ときどきWebで文章書いてます。怖いものは日焼け。
Ame Magazine カメラマン
1994年生まれ。秋田県能代市出身。大学時代に趣味でカメラを始め、学業の傍らインターンやイベントでカメラマンとして活動。日本酒と温泉が好きです。

取材メンバーの編集後記


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